ピエール瀧の演技が「下手」と言われる理由!?演技のプロ目線で分析!

こんにちは、ポトレ・チェックのブロブに来ていただきありがとうございます。
ピエール瀧の演技について考えてみたいと思います。
(以下、敬称略)
演技について厳しい言葉で、演技の専門家が言うことは日本ではほとんどないですよね?
日本の民放のドラマ、朝、昼、夜と演技のクオリティが全然違いますので、どこを基準にしていいのか分からないかもしれません。
ただ、私は世界のアカデミー賞クラスの俳優たち、つまり世界基準で演技を見てみたいと思っているのです。
日本のお客様は演技への目線が育たない、と言われていることをご存知ですか?
美男美女、アイドルを主演にして、視聴率を上げ、それに合わせたドラマを作って・・・主題歌流してって。
日本の視聴者は、民放にバカにされているんですよね、なんて言われていました。
そんなことを続けて視聴率を追いかけ続けた結果、多くの視聴者が離れてきています。
(※理由はそれだけではないですが)
とはいえ、40代以降の方は未だに第一話だけは録画してどのドラマを観るか考えるスタンスだったりしています。
それが悪いと私は言いたいわけではなく、俳優の演技力も育ちにくい業界ではある一因なのです。
今は、ドラマは世界配信の時代。
日本のドラマがどこまで戦えているのかも、演技の視点から見て欲しいところ。
そこで、昨今話題のピエール瀧さんの演技について考えてみたいと思います。
私は批判ではなく演技の視点からの考察ということで指摘できればと思っています。
ピエール瀧は、不祥事後の復帰作として、いろいろと出演作を増やしてきます。
そして民放ではなく、世界配信となるNetflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』『地面師たち』でその存在感を知らしめているところ。
その中で、聞こえてくるのは、
あの関西弁うそくさい!
演技下手なんじゃないの?
いやいや存在感がすごい
といった声。
ファンやニュースから届いてきた好感度からも視点は変わります。
一般では演技の視点というのはなかなか指針が分からないかと思います。
どこかであなたは疑問に思っていたのではないでしょうか?
ピエール瀧って演技が上手いの?って。

結論からいいます。
個性が素敵ですが、演技力が素晴らしいわけではない。
ということです。
その理由について詳しく伝えてみたいと思いますので、ぜひ最後まで読んでください。
Contents
ピエール瀧の演技力が評価される理由とは?

ピエール瀧さんの演技は多くの映画やドラマで高く評価されています。
記事で以下のような内容を見たことある人も多いかもしれません。

その演技力は、ミュージシャンとして培われた存在感を持ち、役柄の内面にまで深く入り込んでいる。
また、観る者を圧倒する説得力がある。
かなり凄い俳優と感じさせるような文章ですが、そのように感じている方も多いと思います。
実際に、ピエール瀧の存在感は、映像業界で引き手数多。
起用したいと考えてるプロデューサーや監督は多いと聞きます。
ではどんな魅力があるのか?
ちょっと私的見解も含め見てみたいと思います。
コメディからシリアスなドラマまで多様な役柄を演じる柔軟性
お茶目な雰囲気を感じさえる風貌と、昔悪ガキだったようなニュアンスを残す風貌。
それを合わせ持っているがゆえに、やんちゃだった兄貴感と、悪ガキだった悪い兄貴感の両方を持っていると思います。
ですので、両方の振り幅を感じさせてくれるのだと思います。
映画『凶悪』で見せた狂気の評価
第38回報知映画賞助演男優賞を受賞して話題になったほど、とても評価されています。
『そして父になる』では、第56回ブルーリボン賞助演男優賞を受賞しています。
日本の俳優の賞もしっかりと受賞してキャリアを築いてきていることも、演技力として評価されている証拠ですね。
ピエール瀧の演技が下手だと言われる理由とは?

Netflixドラマ『地面師たち』のセリフでピエール瀧扮する後藤が発する
「もうええでしょ」
が、かなりひとり歩きしています。
流行語大賞にもノミネート。
この「もうええでしょ」のイントネーションがネイティブ関西人の方からすると嘘くさい。
或いは関西弁に馴染んでいる方からすると嘘くさい。
と言われていますよね。
関西人でなくても分かるほどに、実は嘘くさいんです。
騙された役の人が、「あの嘘くさい関西弁しゃべるやつか」というセリフが入るほどに。
このセリフが台本に元々入っていて、あえて嘘くさい関西弁をピエール瀧が役としてチョイスした可能性もあります。
ですので、このイントネーションだけで下手とは言えません。
知っておきたい!世界スタンダードはリアリズムの演技

誰も嘘くさい演技、大袈裟な演技をカメラ前で求めていないのは分かると思います。
しかしながら、日本においては、そうでもないんです。
アニメの実写化、漫画の実写化、或いはコメディとしたドラマにおいては、リアリズムは置いておかれているのが現状。
そして、ドラマ監督も決して、リアリズムの演技に注目しているわけではありません。
世界スタンダードから置いていかれている現状もありますが、以下が日本の俳優に求めてしまう演技
・分かりやすい演技
・俳優に任せたカッコ良い演技
・個性が出ている演技
・要求にさっと応えられる役割がわかる演技
を求めています。
まず、この前提条件を少し受けれてもらえたらと思います。
きっと、サブスクで海外ドラマをご覧になっている方は、きっと日本のドラマの演技に「あれ?」って感じてる方は増えているのかなと思っています。
もちろん、日本において素晴らしい俳優や演技はありますが、ベースが違っているのはひしひしと感じます。
参考記事
世界で良い演技などについて求められているものがどんな演技なのか、こちらに詳しく書いていますのでぜひ参考にして読んでみてください。
参考記事:「演技が上手・下手」の違いとは?アクティングコーチが教える「良い演技」の考え方
ピエール瀧はリアリズムの演技なのか?

さて、前提条件をとらえたところで、見てみると・・・

ピエール瀧はリアリズムの演技なのか?
なのです。
仕事に忙殺されプレッシャーを感じていてコカインに手を出したとの報道がありました。
推測ではありますが、きっと追い詰められたり、不安なことも多かったのではないでしょうか。
演技を見てみると、実際は体は緊張をしています。
体が硬いんです。
体の芯が緊張しているが故に、硬い演技が生まれています。
愛嬌ある演技は頑張って前に出ているのです。
そう頑張っているのです。
自然とはちょっと違うところ。
さて、そこを自然と呼ぶには、少し無理があります。
その点についてNetflixドラマ2作品を絡めて見てみたいと思います。
Netflixドラマ『サンクチュアリ -聖域-』のピエール瀧の演技

相撲部屋の親方役でした。
はっきり言ってしまうと、硬いです。
評価が高いのは日本だからでしょう。
役づくりのでの硬さ、とは違った緊張がゆえの硬さです。
ご本人は過去のインタビューで「頼まれてやっているので別に緊張とかない」と以前言っていましたが、言っていることと体が感じてることは違うようです。
参照記事:「芝居が面白いと思ったことがない」ピエール瀧が“演じる”理由
私が演技を指導してきて思うのは「緊張している」ことはカッコ悪いので頑張って隠すのです。
目に見えて緊張していても、「緊張していない」と言う人もいます。
上手に緊張を隠して演技していても、結局のところ体は素直に出てきてしまいます。
逆に、主演の一ノ瀬ワタルが素晴らしすぎて、心体とも柔らかくて驚きます。
あっけらかんととてもオープンな演技をされているのです。
そこに余分な力がありません。
対局的に形で落ち着いた演技をしようと試みた可能性はありますが、動き、表情、力が入りっぱなしです。
つまり、リアリズムの演技ではなく、形の演技でがんばっていらっしゃるのです。
でも私はこう言いたいと思います。
ピエール瀧の風貌や体格から出てくる雰囲気は面白く存在感があって素敵なのです。
だから起用されるのだと思います。
形の演技いついて
形の演技とリアリズムの演技がどう違うのか?詳しくみてみたい方はぜひこちらの記事をご参考ください。
参考記事:演技には大きく分けて2種類あります、何だと思いますか?
Netflixドラマ『地面師だち』のピエール瀧の演技

こちらの演技も、観てもらうと演技が硬いです。
ぎゅっと力が入っています。
そう、同じなんです『サンクチュアリ -聖域-』と。
嘘くさい関西弁も騙しのテクニックだったとしても、相手が調べないといけない大事な書類の時に圧力をかけてせかせてくる人物をあなたは信用できますか?
これは脚本にそういった嘘っぽさが入っているので、そもそもリアリズムとはちょっと遠くなっているのかもしれません。
もしかしたらその嘘くささが逆に怖いのかもしれません。
ですのでイントネーションのことは問題にする必要はなく、その体の状態なのです。
言ってしまうと余裕に見せようと形で見せている雰囲気が出てしまっているから内心怖がっているピエール瀧の緊張が見えてしまっているんです。
きっとやりにくかったのでしょう。
本心と真逆の役なのですから。
というかコワモテ風な役などやってきていますが、実際の内面とは実は違っていてそのイメージを保つ発言をしてきているような気がしてきます。
綾野剛の演技と比較してもしきれませんが、土台が全然違うんです。
綾野剛は余分な力が抜けていてリアリズムの演技だったと感じます。
ただ、もちろん監督がOKを出したら、OKなんです。
外野がとやかく言うことではないのですが、演技の目線からいうとそういうこと、なのです。
また、演技力は差っ引いて見ても、ピエール瀧の存在の面白さは間違いありません。
参考記事
Netflixドラマ『さよならのつづき』の演技についても考察していますので、ある視点として参照してみてください。
参考記事:『さよならのつづき』の第1話で面白くないと感じた!?5つの違和感とシーン!
参考記事:Netflixで観れる芯の強い女性が主役の映画!心境に合わせてオススメ5作品!
演技のベースを学ぶ機会もなく、なんとか頑張っている人が多い世界

メソッドアクティング、ベラシステム、イヴァナ・チャバック宴技術など、役を生きる演技方法が世界中に存在しています。
そして世界スタンダートレベルに、スタニスラフスキーシステムがあるのです。
世界の名だたる俳優たち、それに続く俳優たちは、演技メソッドを学び、演技トレーニングをして役に挑戦しています。
そもそもベースが違うのです。
雰囲気や存在感と経験値で対応していく俳優も多い中で、演技のベースなく「これでいいのだろうか?」と心配なままやっている方も多くありません。
タレントやアイドルも付け焼き刃的に、急遽演技を学び、ドラマに飛び込んでいきます。
ルックスやキャラクターから当てはめられ、泳げないのに川に投げられ自力で泳げと言われているような世界。
でも、なぜかそんなもんだと思われているところもあります。
業界全体のせいなのかもしれません。
参考記事
ピエール瀧の演技が「下手」と言われる理由!?-まとめ-

ピエール瀧はその個性や存在感で貴重な日本の俳優と位置づけられていると思います。
評価が賛否両論ですが、演技力ではなく魅力があるといったほうが言い当てた表現だと私は感じています。
演技を指導しない、訓練しない、この業界の中において硬い演技となってしまっているのは業界の被害者なのかもしれません。
なんせ、本人は演技がやりたいわけではないのですから。
裁判でも職業はミュージシャンというアイデンティティであったのも事実。
監督は演技のプロではありません。
全体像を把握して作品をつくるプロです。
きっと大したことのない人が何を言っているのか。
そう思った方もいると思います。
演技のプロはアクティングコーチや演技講師といった方のこと。
その視点で演技について評価する人がいないので、私は挑戦しています。
映画、ドラマ、俳優が大好きな私は、作品に取り組む方々をリスペクトしています。
そのうえで発言しておりますので、ご了承ください。
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